2008.05.20

カテゴリー【特集】File.00

美唄高校食品システム科に密着! 食品づくりが教えてくれること

2008年11月18日、美唄高校食品システム科の実習棟に集まった顔は真剣そのもの。白い実習着姿の全学年74名の高校生が年に一度の「生産祭・技術競技大会」に参加し、学年ごとに与えられた課題に取り組んでいた。食品システム科では農業のまち、美唄にふさわしく食品に関する知識を3年間で学んでいく。生徒たちの高校生活を見てみよう。

人生初のウサギづくりに挑戦!
調理の腕を競い合う晴れの舞台

技術競技大会当日の教室割

技術競技大会当日の教室割。「次はどこだっけ?」確認しながら移動していく

「あと5分だぞー」、先生の一言に教室内の生徒たちが一斉に焦りだす。美唄高校食品システム科独自の行事の一つ、「生産祭・技術競技大会」は、1年生が創作パン、2年生はリンゴでウサギと葉を造るカッティング、3年生は小さなホールケーキを飾りつけるデコレートの各競技から始まった。

1競技40分が終わると教室をすばやく移動し、次の競技に挑戦する。「リンゴの皮むきやったことある?」の問いかけに「初めてです」と素直に告白する生徒もいれば、「家でいつもお菓子を焼いています」と慣れた手つきでパンを成形していく生徒もいる。同じ素材を使いながらも個性あふれる作品が並べられていく。評価をする先生がたも真剣な表情で採点表に向かっていた。

将来の農業のスペシャリスト
日本学校農業クラブ連盟に仲間入り

美唄地鶏

真新しい農業クラブの旗を持つのは記念すべき初代の役員トリオ

美唄高校は美唄東高校と美唄南高校を母体校とする新設校として、1999年に開校した。普通科に加えて食品システム科、生活デザイン科、情報ビジネス科の4学科を有し、道内の公立高校では他に例のない多角的な教育体制を整えている。

08年、情報ビジネス科の全員が加入する「商業クラブ」が美唄産の米や野菜、そして地元名物の美唄焼き鳥を盛り込んだ「美唄コロッケ」を開発した。斬新な美唄コロッケは新聞やテレビでも取り上げられ、現在は内容を一新した「北海道ライスコロッケ」がAコープびばい・ほろむい・新すながわ本店で販売されている。

そんな商業クラブと肩を並べて躍進中なのが、08年春に誕生したばかりの「農業クラブ」だ。一般に農業クラブとは、全国の農業高校の生徒が入学と同時に所属する学習活動のこと。食品システム科で農業を学ぶ美唄高校が日本学校農業クラブ連盟に加盟したことで、同校にも待望の農業クラブが誕生した。

生徒の声が描き出す
食品システム科の3年間

農業クラブの役員を務める生徒たちに話を聞いた。食品システム科ならではの授業や農業クラブの活動をいきいきと語る3人の高校生活が見えてくる。

廣島さん

「造る人から販売員に目覚めました」

農業クラブ 会長 3年 廣島 夕貴さん

将来はパティシエになりたくて食品システム科に進学しました。「技術競技大会」「意見発表大会」「実績発表大会」の三大行事を進めてこられたのも、2人の副会長やみんなに助けてもらったおかげです。「意見発表大会」では私も発表者の1人になり、科の全学年を相手に家族への感謝の気持ちを発表させてもらいました。校内で優秀賞に選ばれ、次は南北海道地域大会へと進みます。今はその準備があるのでまだ気が抜けません。

実習で造った製品は「美食倶楽部」というブランド名で、花舞裸まつりなどの地域イベントのときに自分たちが店頭に立って販売します。私たちが造った製品を喜んでくださるお客様に接しているうちに販売員の魅力に気がつき、就職は夢が叶って道内菓子メーカーの販売員に決まりました。造っている人の思いごとお客様に伝えられるようになりたいです。

柚木さん

「消極的だった自分がもう一歩前に」

農業クラブ 副会長 3年 柚木 春菜さん

私たちの科は1年生で食品に関する基礎知識を学び、2年生ではジャムづくりなどの実習が増えていきます。美唄の特産ハスカップを使ったジャムがおいしくできあがったときは嬉しかったです。3年生になると集大成としてハムやベーコンなどの肉製品づくりが中心になります。座学の授業でも食品化学や微生物基礎といった普通科では学べないことがおもしろくて、学校に来るのが楽しかった3年間でした。

実習をしていると、作業が遅れている友だちを手伝ったり、手伝ってもらったりしながら、他の人のことを自然と考えるようになっていきます。消極的だった自分から声をかけられるようになって、大進歩です(笑)。「実績発表大会」ではハスカップとイチゴのお酢の試作品についてパワーポイントを使って発表しました。自信をくれた母校から胸をはって社会に出て行けます。

林さん

「叱り上手の先生に感謝してます」

農業クラブ 副会長 3年 林 裕樹さん

札幌の高校から食品のことを勉強したくて転入してきました。食品システム科は“熱い”先生が多いので、一度も叱られていない生徒は多分いないと思います。実習ではジャムのビニールキャップ1つにしても貼り方が厳密に決まっていて、ちょっとでも曲がっていると先生がめざとく見つけて「やり直し!」と(笑)。そのときは面倒だと思っても、実際自分が消費者の立場で貼り方が違う物に当たったときに「なんで? 中身もあやしいのかな?」と思わず心配になりました。先生の細かい指導にはちゃんと意味があるんだなと納得できました。

将来は管理栄養士を目指して、本州の食物栄養科のある大学に進学します。美唄高校で食品のことを知り、友だちもできて、「もっと大きい人間になりたい」と思うようになりました。美唄に来て、変わることができたんです。

社会に求められる
豊かな人間性を育む3年間に

松本先生

就職指導にも熱心な食品システム科の松本先生

最後に生徒たちを見守り続ける食品システム科の松本賢先生に登場していただこう。

「農業クラブ加盟の目的は、同じ農業を学ぶ者同士、他校との交流を深め、生徒たちにさまざまな大会参加を経験してもらうことにあります。初年度はすべてが初めてづくしで役員も大変だったようですが、がんばる先輩の姿を見た後輩たちが次に続いてくれればと願っています」

華やかな大会参加の一方で、毎週の製造実習の中にも生徒たちに気づいてほしいことが潜んでいる。「食品製造に関わる以上、衛生面を厳守するのも丁寧に造るのも当然のことですが、製造実習を通じて“自分で考え、動ける人材”になってもらうことを重要視しています。美唄高校食品システム科の3年間で食の奥深さに触れ、豊かな人間性を育んでから社会に旅立ってもらいたいですね」。

美唄地鶏とお蕎麦 こはれ

北海道美唄高等学校

【URL】http://www.bibai.hokkaido-c.ed.jp/
食品システム科74名
生活デザイン科58名
情報ビジネス科77名
普通科170名
【問い合わせ】美唄市西1条南6丁目1-1
【TEL】0126-64-2277