2008.05.20

カテゴリー【特集】File.00

芸術広場として蘇る 炭鉱の森と木造校舎

美唄市の東、緑深い山間を行くと現れるどこか懐かしい風景。木造2階建ての校舎、その前に広がる青々とした芝生の上を元気に走り回って遊ぶ子どもたち――。今では少なくなってしまったこんな光景に出合えるのが、ここアルテピアッツァ美唄。古き良き日本を思わせる空間を歩いてみると、そこかしこに不思議な形の彫刻が点在する。ここはいったい、どんな場所なのだろう? アルテピアッツァ美唄に働く伊東奈美さんに案内をお願いした。

かつて炭鉱町として栄えた美唄市。三菱の炭鉱があった東美唄地区には往時、炭鉱従事者を中心に3万人もの暮らしがありました。もちろん、その子弟が通う学校がいくつもあり、にぎやかな子どもたちの声がいつも町に響いていました。そのひとつがここ、旧美唄市立栄小学校です。1200人を超える児童が通っていた校舎や体育館、それを取り囲む自然の中に美唄出身の世界的彫刻家・安田侃氏の作品約40点を配置し、芸術空間として再生させた「アルテピアッツァ美唄」を紹介します。

アルテピアッツァ美唄とは

人々は安田侃氏の作品を思い思いに楽しむ

ときに遠くから眺め、ときに腰をおろしてくつろぎ、ときに寝そべって肌で質感を確かめるなど、人々は安田侃氏の作品を思い思いに楽しむ

平成4年7月のオープン以来、少しずつ空間も広がり、彫刻の数も増え進化し続けているアルテピアッツァ美唄。アルテピアッツァとはイタリア語で「芸術広場」を意味します。

現在は7万m2の敷地を有し、古い木造校舎の一階部分は幼稚園、二階部分は当時の面影を残す教室に彫刻を展示するギャラリーになっています。旧体育館を改装したアートスペースや大理石で作られた野外の石舞台では、クラシックやジャズのコンサート、講演会などが開催されています。また、施設の内外に点在する安田侃氏の白大理石やブロンズの抽象彫刻は直接触れることができ、彫刻の周りで子どもたちが喜々として遊んでいる様子が印象的です。

広場全体が彫刻と対話できる空間、自分を見つめ直すことのできるゆとりの空間として多くの人に親しまれています。

春夏秋冬の四季を通じてさまざまな表情を見せてくれるアルテピアッツァ。冬は一面を真っ白な雪が覆い、そこにエゾリスや野ウサギなどの足跡がテンテンテン……と刻まれていて、そういう痕跡からいろいろなことを想像できるのも冬の楽しみなんですよ。

“こころを彫る授業”

体験工房「ストゥディオ アルテ」で毎月実施している「こころを彫る授業」が好評です。

最初は30cm角の塊でしかない白大理石や軽石も、削ったり磨いたりするうちに、「自分だけのカタチ」へと変化し、自分のこころの形となって完成です。1回の定員約40名で行うこの授業の一番の魅力は、さまざまな年齢層の方々が一堂に会して作業をすること。小学生の男の子から90歳を越えたおばあちゃままで、老若男女が同じ作業に没頭する楽しさがあるようです。

でき上がった「カタチ」がどのようなものであるか……。もちろん、それは重要なことでしょうが、何よりもその過程が楽しく貴重な体験であったと参加者が異口同音に振り返ります。

講師を務める安田侃氏

「こころを彫る授業」で自らが講師を務める安田侃氏

参加者からは「持ち帰った小さなモニュマンはリビングに置いて毎日眺めています。未完成ながらもアルテでの心が入ったカタチには、日々癒されていてとても不思議な感覚です」とか「運良く“こころを彫る授業”に参加でき、短時間でしたが皆様と“自分を白い大理石にぶつける難しさ”を知る共通の時間を持てましたこと、幸運に思います」との言葉も届いています。

スケジュールの都合がつけば安田さん自ら講師となってくださいます。興味のある方はぜひ、事務局までお問い合せください。

美唄地鶏とお蕎麦 こはれ

アルテピアッツァ美唄

【住所】〒072-0831 美唄市落合町栄町
【TEL&FAX】0126-63-3137
【開館時間】9:00~17:00 入館料無料
【休館日】

毎週火曜日・祝日の翌日・年末年始(12月31日~1月5日)

【交通】

電車:JR函館本線利用で札幌より40分。新千歳空港より90分。
美唄駅下車、市民バス「アルテピアッツァ美唄」行きで約20分。
:道央自動車道利用で札幌JCTより40分。美唄より右折、5分。
駐車場80台。

【URL】http://www.kan-yasuda.co.jp/arte.html
【NPOブログ】http://npoarte.blog.ocn.ne.jp/