アルテピアッツァ美唄、温泉、農家民泊、炭鉱遺産
こころを耕すモニターツアー体験記



2月初旬、雪深い美唄で行われた「こころを耕すモニターツアー」。
美唄って一体どんなところ? アルテピアッツァ美唄の「こころを彫る授業」で幕を開ける一泊二日の体験ツアーが始まりました。彫刻体験、農家民泊、炭鉱遺産と大人が楽しむ美唄の魅力。私、PiPaスタッフのツカモトもカメラ片手に同行してきました!

「こころを彫る授業」からスタート!

 美唄での一泊二日を楽しむ「こころを耕すモニターツアー」のスケジュールは、ご覧の通りです。

【2月6日(土)】
10:00から「こころを彫る授業」(途中ランチあり)→16:00に温泉施設「ピパの湯ゆ〜りん館」へ出発→お湯につかった後は2班に分かれて市内の農家で夕食。農家民泊を体験
【2月7日(日)】
朝食で体を温めてから10:00炭鉱遺産バスツアー→「こころを彫る授業」続き(途中ランチあり)→16:00終了、解散

 アルテピアッツァ美唄(以下、アルテ)の「こころを彫る授業」を軸に、農村地域ならではの農家民泊や炭都の歴史を語るバスツアーを盛り込んだ充実の一泊二日間。
 初日の朝10時、道内外から集った10人の参加者が「どんな二日間になるのかな?」と期待まじりの表情でアルテの工房に足を踏み入れました。
すっぽり雪に覆われたアルテの工房。ここからノミの音が聞こえてきます。

すっぽり雪に覆われたアルテの工房。ここからノミの音が聞こえてきます。

スタッフの説明を聞く様子。石炭ストーブの温かさと窓の外のギャップがすごいんです。

スタッフの説明を聞く様子。石炭ストーブの温かさと窓の外のギャップがすごいんです。

参加者は見る角度を変えたり遠くから眺めたりして大理石の表情を読んでいきます。

参加者は見る角度を変えたり遠くから眺めたりして大理石の表情を読んでいきます。

 「こころを彫る授業」とはタイトル通り、大理石を素材に自分のこころを彫る時間。でもこころってどんな形? 答えを教わることができない自分自身と向き合う時間が始まります。
 ところがいざ手を動かし始めると、硬い大理石を思いどおりに彫るのがムズカシイ! スタートから困り顔の参加者にスタッフが「最初は大変でも彫っていくうちに彫りやすい箇所や角度がわかってきます。その石がもつ模様を使ってみてもおもしろいですよ」とアドバイスしていました。

 ところで今日ここにお集りの皆さん、「こころを耕すモニターツアー」への参加理由は? 聞けば、美唄の炭鉱のシンボル・立坑やぐらが目当ての方もいれば、「アルテでぜひ安田侃さんの作品を見たい」という方、さらに「東京生まれの東京育ちだから農家のことを知りたくて」「町おこしの参考に」と皆さんの返事は十人十色。それぞれの思いを胸にこころを彫る作業が続いていきます。

積雪60センチで「かんじき体験」

 参加者のお一人、池谷(いけや)さんにお話をうかがいました。「こころを彫る授業」の参加回数は「これが10度目かも」という大ベテランの池谷さん。彫刻家・安田侃さんが指導に立つ授業にも出たことがあり、その時にこんなことを言われたそうです。
 「石を前に迷っていたら、“今日のこの時間は、ああしようこうしよう、そういう考えをすべて捨てる時間なんだよ”とおっしゃるんです。それを聞いてからは思うままに手を動かすことができて。安田先生の言葉は作品に対するコメントというより人生の一言なんですよね」
 うーん、深イイお話です。そして池谷さんと私は、冬といえばコレ!「かんじき体験」を楽しみました!
足元に注目!楕円形の木枠とひもで体重を支えるシンプルな作りの「かんじき」。

足元に注目!楕円形の木枠とひもで体重を支えるシンプルな作りの「かんじき」。

 「かんじき」とは、雪国の屋外で使われる生活道具。今で言う「スノーシュー」でしょうか。靴の上から装着すると雪の上も体が沈まずに歩ける優れもの。では早速、と、積雪60センチの雪原を歩き出すと、おお、確かに歩きやすい!試しにかんじきなしで歩いてみるとズボボッと膝下まで雪の中に埋もれていきました。
 目的地は安田侃さんの作品「ひとつがふたつ」がある場所。そこに向かって道なき道を進んでいくと、「こんにちはー」、後ろから追いかけてくる声が聞こえてきました。

アルテのカフェから私たちの姿を見たという参加者さんが合流し、目的地に到着。
そして本州の人なら一度はやってみたい「雪原ダイブ」!(下の写真)
池谷さん曰く「一度でいいから雪の上に寝てみたかったんです-〜!」

池谷さん曰く「一度でいいから雪の上に寝てみたかったんです-〜!」

心づくしのおもてなし「農家民泊」

 「かんじき体験」から工房に戻り、再び「こころを彫る」作業を続けていると、時刻はもう夕方、初日の授業は終了です。その夜お世話になる農家の方が工房に到着し、お互いが「はじめまして」の顔合わせ。まずは美唄の温泉スポット「ゆ〜りん館」へ向かい、温泉で今日の疲れを落としました。
そこから先は二班に分かれ、「農家民泊」の時間が始まります。
夕飯は「お疲れさまでしたー」の乾杯から。右端が受け入れ農家の川島さん。

夕飯は「お疲れさまでしたー」の乾杯から。右端が受け入れ農家の川島さん。

鹿肉のビーフシチューやとりめしがあっという間に売り切れ状態!

鹿肉のビーフシチューやとりめしがあっという間に売り切れ状態!

もちろんケーキは別腹。どれも川島さんお手製のおもてなしです。

もちろんケーキは別腹。どれも川島さんお手製のおもてなしです。

 はじめは緊張を隠せなかった皆さんもおいしい食事が進むにつれて、打ち解けた雰囲気に。川島さんが話す美唄の歴史や農家の日常生活、はじめて聞く話にみんながうなずいたり笑ったり。「我々、農家のがんばりを消費者である皆さんがこれまで以上に意識してくれるようになったら嬉しい」という川島さんの一言が全員の心に深く残りました。
参加者の一人が持参したギターで「イマジン」を披露。ストリートで鍛えたという歌声に全員が笑顔で拍手を送ります。

参加者の一人が持参したギターで「イマジン」を披露。ストリートで鍛えたという歌声に全員が笑顔で拍手を送ります。

「もちつき」の後は立坑やぐらを見学

 ツアー二日目の朝、もう一班の宿泊先である藤井農場ではなんと「もちつき」が行われていました。材料はもちろん藤井さん自家製のもち米。参加者全員が初めてという「もちつき体験」の始まりです!
まずは藤井さんのお手本から。もちの土台を作ります。

まずは藤井さんのお手本から。もちの土台を作ります。

「きねが重い〜」と苦戦する女性陣。よろけてしまうのもご愛嬌。藤井さんの奥さんがすばやくもちをひっくり返します。

「きねが重い〜」と苦戦する女性陣。よろけてしまうのもご愛嬌。藤井さんの奥さんがすばやくもちをひっくり返します。

つきたてもちは市販のものとは比べ物にならないほどの柔らかさ。自分たちがついたもちを丸めてお雑煮にして「いただきます!」

つきたてもちは市販のものとは比べ物にならないほどの柔らかさ。自分たちがついたもちを丸めてお雑煮にして「いただきます!」

 参加者の一人が思わず「おいしいものを作るって大変なんですね」と本音をぽつり。「今度は夏の田植えの時期に来てみたい」という声も上がり、手を振って見送る藤井さん宅を後にしました。
 さて、一度アルテに集合した二班は一台のバスに乗り込み、二日目午前のメインイベントである「炭鉱遺産バスツアー」へ。車中で炭都の歴史について学び、炭鉱メモリアル森林公園でバスを降りてからは歩いて立坑やぐらを目指します。
 「あ、あれじゃない?」。雪景色の中にくっきりとそびえたつのは、高さ20メートルの赤い2機の立坑やぐら。その昔、深さ約170メートルの坑内から石炭を運び出した勇ましい姿にカメラを向ける参加者もいました。
一面の銀世界と色鮮やかな立坑やぐらのコントラストが印象的。

一面の銀世界と色鮮やかな立坑やぐらのコントラストが印象的。

アルテに戻った後、アートスペースでは故郷美唄を思う安田侃さんの志とアルテを見守る市民の活動について説明を受けました。

アルテに戻った後、アートスペースでは故郷美唄を思う安田侃さんの志とアルテを見守る市民の活動について説明を受けました。

美唄はいつでも皆さんの帰りを待っています!

 さあ、いよいよ「こころを耕すモニターツアー」も大詰め。再び、思い思いのこころと対面します。工房内の会話をよく聞いていると、スタッフのアドバイスは基本動作からより具体的な表現方法に変わり、参加者同士も彫り方や作品について語り合う一体感が生まれていました。
ずっと磨き続けたことでなめらかな表情を見せる参加者の「こころ」。

ずっと磨き続けたことでなめらかな表情を見せる参加者の「こころ」。

「わー、いい形だね」「本当はもっとこうしたいんだけど」ともに時間を過ごし打ち解けた二日目は会話も弾みます。

「わー、いい形だね」「本当はもっとこうしたいんだけど」ともに時間を過ごし打ち解けた二日目は会話も弾みます。

完成途中の「こころ」は名前のタグをつけるとアルテで一年間保管してくれます。道具も貸し出してくれるため、続きがしたくなったらまたここに来るだけでOK!

完成途中の「こころ」は名前のタグをつけるとアルテで一年間保管してくれます。道具も貸し出してくれるため、続きがしたくなったらまたここに来るだけでOK!


 早いようで短かった「こころを耕すモニターツアー」もついに終わりのときを迎えました。こころを彫り、農家さんとの対話や炭鉱遺産を通じて、参加者皆さんのこころには一体どんな思いが刻まれたのでしょうか。
 二日間カメラ片手に同行させていただいた私は、別れを惜しむ皆さんの表情を見て、「この中にきっとまた美唄に帰ってきてくださる方がいるに違いない!」と希望を感じずにはいられませんでした。

参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。美唄市民として来客に大感謝です。
今回のモニターツアーを主催した「NPO法人アルテピアッツァ びばい」では、皆様からいただいた感想をもとに、来訪者に農家民泊を紹介したり、炭鉱の記憶をご案内する活動を充実させていきたいと考えています。
これをご覧のあなたも、一度ぜひ美唄へ遊びにきてくださいね!

投稿者:PiPa運営事務局1(2010-09-07)

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